FMの国際規格とは?ISO 41001とIFMAを解説|第1章⑦

楽しく学ぶ!ファシリティマネジメント講座 ファシリティマネジメント講座
ファシリティマネジメントを楽しく学ぼう

ファシリティマネジメントは、日本だけで行われているものではありません。

国や地域によって、法律、気候、建物、働き方は異なります。それでも、FMについて話し合うための共通する考え方や国際規格が整えられています。

今回は、FMの国際規格であるISO 41000シリーズと、専門家を支えるIFMAの役割を、ぴよまるたちと一緒に学びます。


まずは3択クイズ!

🐶うらのいぬさん:IFMAとISOについて、正しい説明はどれでしょう?

① IFMAとISOは、名前が違うだけで同じ組織
② IFMAが世界共通の法律をつくり、ISOがFM資格を認定する
③ IFMAはFM専門家を支える団体、ISOは国際規格をつくる仕組み

🐥ぴよまる:どちらも世界で活動しているけど、役割は違うんだよね。ぼくは③!

🐶:正解は、③です。

🐥:やった!でも、専門家を支えることと、国際規格をつくることはどう違うの?

🐔にわのとりさん:IFMAは、人や知識をつなぐ専門家団体じゃ。一方のISOは、国や専門家が参加して、共通して使える規格をつくる国際的な仕組みなんじゃよ。


FMの国際規格は「世界共通の答え」ではない

🐥:国際規格があるなら、世界中のFMは同じ方法で仕事をしているの?

🐔:いや、まったく同じというわけではないぞ。

国が違えば、法律や気候、文化、建物のつくり、災害の種類も異なる。組織によって、施設を使う目的や利用者も違うじゃろう。

国際規格が示すのは、すべての施設に同じ答えを当てはめることではないんじゃ。

🐶:国際規格は、考え方や用語、マネジメントの基本的な枠組みを共有するために役立ちます。

たとえば、海外の担当者とFMについて話し合うとき、同じ言葉を違う意味で使っていたら、認識のずれが起きてしまいます。

共通する考え方があれば、お互いの違いを確認しながら話を進めやすくなります。

😸うちのねこさん:世界共通なら、オレのおやつの量も国際規格で決めてほしいニャ。

🐥:それは、それぞれの家庭で決めることだと思うよ。

🐔:まさにそれじゃ。共通する考え方があっても、具体的な運用まで一つに決めるわけではないんじゃよ。

国際規格は、世界共通の答えではなく、違いを越えて話し合うための地図です。


IFMAはFM専門家をつなぐ国際団体

🐥:IFMAって、どんな団体なの?

🐶:IFMAは、International Facility Management Associationの略称です。日本語では、一般に「国際ファシリティマネジメント協会」と呼ばれています。

1980年に設立され、FMに関する教育、資格、調査研究、情報発信、専門家同士の交流などを行っています。

IFMAの公式情報によると、現在は140を超える国々で、2万6,000人を超える会員を支援しています。

🐥:世界中のFM担当者が集まる、大きな勉強会みたいなもの?

🐔:勉強だけではないが、イメージは近いのう。

FMに関する知識や事例を共有したり、専門家が能力を高めたり、同じ課題を持つ人同士がつながったりする場をつくっているんじゃ。

🐶:IFMAには、次のような資格・認定プログラムもあります。

  • CFM:Certified Facility Manager
  • FMP:Facility Management Professional
  • SFP:Sustainability Facility Professional

ただし、これらはIFMAが運営する資格・認定であり、ISOの国際規格そのものではありません。

🐥:IFMAは「人と知識を育ててつなぐ役割」なんだね。


ISOはFMの共通ルールを整える

🐥:では、ISOは何をしているの?

🐔:ISOは、さまざまな分野の国際規格をつくる国際的な組織じゃ。

それぞれの分野について、各国から専門家が集まり、話し合いながら規格をつくっておる。

🐶:FMの国際標準化を担当しているのが、ISO/TC 267という専門委員会です。

TCはTechnical Committee、つまり専門委員会を表しています。ISO/TC 267は2011年に設置され、ファシリティマネジメントに関する国際規格の整備を進めています。

🐥:世界中の代表が集まって、FMの考え方を相談しているんだね。

🐔:そうじゃ。専門家が知識を持ち寄り、国や業種を越えて利用できる形へ整えていくんじゃよ。


ISO 41000シリーズには何が書かれている?

🐥:ISO 41000シリーズって、一冊の分厚いルールブックなの?

🐶:一つの規格ではなく、FMに関する複数の規格をまとめた呼び方です。

用語や定義、FMサービスの調達、マネジメントシステム、戦略づくりなど、規格ごとに扱うテーマが異なります。

その中心的な規格の一つが、ISO 41001です。

ISO 41001は、FMを組織的に進めるためのマネジメントシステムについて、要求事項と利用の手引きを示しています。

主な考え方には、次のようなものがあります。

  • FMを組織の目的と結びつける
  • 利用者など関係者のニーズを把握する
  • 方針や目標を定める
  • 必要な役割や責任を明確にする
  • FMサービスを計画し、実施する
  • 結果を測定・評価する
  • 継続的に改善する

🐥:これまで学んできた、目的、目標、業務の流れがつながっている!

🐔:そのとおりじゃ。ISO 41001は、どの設備を何回点検するかという個別の作業手順を、世界一律に決めるものではない。

組織がFMをどのように計画し、実行し、評価し、改善するかという仕組みを扱っておるんじゃ。


ISO規格と認証は同じもの?

🐥:ISO 41001という規格があるなら、使う会社は全部、ISOから認定してもらうの?

🐶:ここは少し注意が必要です。

ISOは国際規格をつくる組織ですが、企業や施設を直接認証する機関ではありません。

組織は、ISO 41001の考え方を参考にしてFMの仕組みを整えることができます。そのうえで認証を希望する場合は、認証を行う第三者機関による審査を受けます。

🐥:規格をつくる人と、その規格に合っているかを審査する人は別なんだね。

🐔:そういうことじゃ。

また、国際規格を参考にすることと、認証を取得することも同じではない。認証取得だけが、規格を活用する方法ではないんじゃよ。


日本のFMは世界とどうつながる?

🐥:日本では、誰がFMを広めているの?

🐶:日本には、公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会、通称JFMAがあります。

JFMAは、日本におけるFMの普及、調査研究、人材育成、情報発信などに取り組んでいます。

認定ファシリティマネジャー資格制度や、国内の優れたFM活動を表彰するJFMA賞もあります。

🐔:海外で蓄積された知識を学ぶだけでなく、日本の経験や事例を世界へ伝えることも大切じゃ。

地震への備え、建物の長寿命化、省エネルギー、働き方の変化への対応など、日本で培われた知識が国際的な議論に役立つこともあるじゃろう。

🐥:世界の方法をそのまま持ってくるんじゃなくて、日本の経験も持ち寄るんだね。

🐶:そうです。国際化は、一方的に海外へ合わせることではありません。

共通する考え方を使いながら、それぞれの国や組織が経験を交換し、より良い方法を探すことなのです。


FMの国際規格も進化している

🐥:国際規格は、一度できたらずっと変わらないの?

🐔:社会や技術が変われば、規格も見直されるんじゃよ。

🐶:ISO/TC 267では、現在もFMに関する規格の開発や見直しが進められています。

活動分野には、次のようなテーマがあります。

  • FMの戦略と方針
  • 施設を利用する人の体験
  • デジタル技術とデータ
  • 緊急事態への対応
  • パフォーマンスの測定と改善
  • 建物や施設のライフサイクル
  • リーダーシップとイノベーション

ISOの公式情報では、2018年に発行されたISO 41001についても、改訂作業が進められています。

※規格の改訂状況は変わるため、利用するときはISOなどの公式情報で最新版をご確認ください。

😸:世界中で、もっと快適な昼寝場所を研究しているということニャ。

🐥:人の体験を考える研究だけど、ねこさんにも少し関係するかもしれないね。

🐔:働き方、気候変動、災害、デジタル技術。施設を取り巻く環境が変わり続けるからこそ、FMも学び、変わり続ける必要があるんじゃよ。


今日のまとめ

🐶:今回のポイントを整理しましょう。

  • FMは世界各国で行われている
  • 国際規格は、世界中の実務を同じにするものではない
  • IFMAは、FM専門家の教育・資格・交流・情報共有などを支える国際団体
  • ISOは国際規格をつくり、ISO/TC 267がFM分野を担当している
  • ISO 41000シリーズは、FMの用語やマネジメントの考え方などを扱う
  • ISO 41001は、FMを計画・実行・評価・改善する仕組みを示している
  • 日本ではJFMAが、FMの普及や人材育成、調査研究などに取り組んでいる
  • 国際規格も、社会や技術の変化に合わせて見直される

🐥:国際規格って、世界を一つの方法にそろえる決まりじゃなかったんだね。

🐔:うむ。違う国や組織が、お互いの経験を持ち寄るための共通言語なんじゃ。

世界共通の地図を手に、それぞれの土地に合った道を選ぶ。FMの国際化とは、そんな歩みなのかもしれんのう。


次回予告:FMにはどんな人が関わる?

FMは、ファシリティマネジャー一人で完成する仕事ではありません。

建築、設備、清掃、警備、情報システム、人事、経営など、さまざまな立場の人が協力して施設を支えています。

次回は、多職種がつながって進める「チームFM」の世界を見ていきます。


関連記事


参考資料

※IFMAの会員数・活動地域およびISO規格の開発状況は、2026年9月に公式サイトで確認した情報です。最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました