人口減少とFM|施設の使い方を見直す理由|第2章①

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人口が減ると、建物も同じように減らせばよいのでしょうか。

人口減少とFMの関係を考えるとき、まず知っておきたいのは、人口が減っても必要な施設まで同じように減るとは限らないことです。

子どもが減る地域もあれば、高齢者が増える地域もあります。人が少なくなっても、医療や福祉、防災などの機能は、むしろ重要になることがあります。

今回は、人口減少によって施設に求められる役割がどう変わるのか、FMの視点から見ていきましょう。

人口減少とFMの関係をクイズで考えよう

🐶うらのいぬさん:それでは問題です。人口が減って、以前より利用者が少なくなった施設があります。FMの考え方として、最も適切なのはどれでしょう?

A.利用者が減ったので、すぐに施設を閉鎖する
B.使われていなくても、これまでどおり維持する
C.利用状況や地域のニーズ、費用などを調べ、今後の使い方を考える

🐥ぴよまる:うーん。使う人が減ったならAかな。でも、急に閉鎖したら困る人もいそうだね……。ぼくはCにする!

🐶:正解は、Cの「利用状況や地域のニーズ、費用などを調べ、今後の使い方を考える」です。

利用者が減ったからといって、すぐに閉鎖するのが正解とは限りません。一方で、ほとんど使われていない施設を、理由を確認せずに維持し続けることにも課題があります。

大切なのは、施設の利用状況や安全性、維持費、利用者への影響、将来のニーズなどを確認し、改修、複合化、用途変更、売却、廃止といった選択肢を比べることです。

人口減少とFMにはどんな関係がある?

🐥:人口が減ることと、FMにはどんな関係があるの?

🐔にわのとりさん:人口や年齢構成が変われば、必要とされる施設の量や機能も変わるからじゃよ。

総務省統計局によると、2024年10月1日現在の日本の総人口は1億2,380万2千人で、前年より55万人減少しました。総人口の減少は14年連続です。

一方、65歳以上の人口が占める割合は29.3%となっています。

つまり、人数が減っているだけではありません。子ども、働く世代、高齢者の割合も変化しているのです。

そのため、施設に求められる役割も変わっていきます。

たとえば、地域によっては学校を利用する子どもが減る一方で、高齢者の交流や福祉、防災に使える場所が必要になるかもしれません。

企業でも、従業員数や働き方が変われば、これまでと同じ広さや配置のオフィスが適切とは限りません。

🐥:人口が減った分だけ、建物を減らせばいいわけじゃないんだね。

🐔:そのとおりじゃ。大切なのは、単に減らすことではなく、これから必要となる機能を見極めることなのじゃよ。

施設は、使われなくても費用がかかる

建物は、あまり使われていなくても、維持するための費用がかかります。

点検、清掃、警備、修繕、電気や水道などが必要です。建物が古くなれば、大規模な修繕や設備更新が必要になることもあります。

だからといって、目先の費用だけを見て施設を閉じればよいわけでもありません。

施設が遠くなれば、通学や通院、行政サービスの利用が不便になる人もいます。災害時の避難場所が減る可能性もあります。

FMでは、次のような点を総合的に考えます。

  • どのくらい利用されているか
  • 今後も必要な機能か
  • 建物の安全性や劣化状況はどうか
  • 維持や改修にどのくらいの費用がかかるか
  • 閉鎖や移転によって困る人はいないか
  • 別の施設と機能をまとめられないか
  • 新しい用途に活用できないか

🐶:FMは、建物の数だけを見るのではありません。そこで働く人、利用する人、地域、費用、安全性などを一緒に考えます。

「減らす」だけではない施設の見直し

人口減少に対応する方法は、施設を廃止することだけではありません。

複数の施設に分かれていた機能を一つの建物へまとめる「複合化」や、空いた場所を別の目的に使う「用途変更」という方法もあります。

たとえば、学校としての役割を終えた建物が、地域交流施設、福祉施設、事業所などに活用される場合があります。

文部科学省によると、少子化による児童生徒数の減少などによって、全国では毎年およそ450校の廃校施設が生じています。同省は「みんなの廃校プロジェクト」を通じて、地域の実情やニーズに合った活用を促しています。

ただし、空いている建物なら何にでも使えるわけではありません。

立地、建物の状態、耐震性、法令上の条件、改修費、運営する人や組織の有無などを確かめる必要があります。

🐥:使わなくなった学校を、すぐに別の施設へ変えられるわけじゃないんだね。

🐔:うむ。新しい使い道が地域に合っているか、無理なく続けられるかまで考える必要があるのじゃ。

人口減少に向き合うFMの4つの視点

人口減少の時代にFMが行うことは、大きく分けると次の4つです。

1.現状を知る

利用人数、利用時間、維持費、建物の状態などを調べます。

2.将来を考える

人口や年齢構成、働き方、地域のニーズなどが、今後どう変わるかを考えます。

3.選択肢を比べる

維持、改修、複合化、用途変更、売却、廃止など、それぞれの効果と影響を比べます。

4.実施後も確かめる

計画を実行したあとも、安全性、利用しやすさ、費用、利用者への影響などを確認し、必要なら改善します。

😸うちのねこさん:オレの昼寝場所も、利用率はかなり高いニャ。維持する価値があると思うニャ。

🐶:利用者本人による自己評価だけでなく、客観的な情報も必要ですね。

🐥:ねこさんの満足度は、いつも100%だね。

人口が減ると、限られた人員で施設を維持することも課題になります。

ICTや自動化を活用し、点検やエネルギー管理などを効率化する方法もあります。ただし、技術の導入そのものが目的ではありません。

安全性や使いやすさを保ちながら、人の負担をどのように減らすかが重要です。

今日のまとめ

人口減少とFMを考えるときに大切なのは、施設の数を減らすことではなく、これから必要な機能を見極めることです。

  • 人口減少は、施設の量だけでなく、求められる場所や機能も変える
  • 人口が減っても、新たに必要となる施設やサービスがある
  • 施設の廃止だけでなく、複合化や用途変更も選択肢になる
  • 維持費だけでなく、安全性、利便性、利用者への影響も確認する
  • FMは、現状を把握し、将来を考え、選択肢を比べ、実施後も改善する

🐥:人口が減ると、建物も減らすのだと思っていたけれど、その町や組織に何が必要かを考えるのが先なんだね。

🐔:そうじゃ。FMは、建物を残すか減らすかだけを決めるものではない。限られた施設を、これからの目的に合わせて生かすためのマネジメントなのじゃよ。

次回予告

次回は、グローバル化とICTの進化がFMにどのような変化をもたらしているのかを考えます。

世界各地に広がる拠点や、働く場所を支えるデジタル技術。便利になる一方で、新しい課題も生まれます。

次回:グローバル化とICTでFMはどう変わる?|第2章②

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参考資料

※将来推計人口は、出生、死亡、国際人口移動などについて一定の仮定を置いて計算したものです。将来を確定的に予言する数字ではありません。

※施設の統廃合、複合化、用途変更などの判断は、施設の所有者、地域の状況、法令、財政、安全性、利用者のニーズなどによって異なります。

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