FMの内部監査は、施設の状態だけでなく、FMの仕事を支える仕組みがうまく働いているかを点検し、改善につなげるための方法です。
ここまで、供給・品質・財務の目標をどう見直すか考えてきました。でも、必要な情報が見つからない、担当する人が足りないなど、仕事の進め方そのものに課題があったらどうでしょう。今回は、改善を続けられる仕組みについて考えます。
🐥ぴよまる:設備の修繕記録を見たいのに、どこにあるか分からないんだって。設備を直す前に、記録の管理を見直したほうがいいのかな?
🐔にわのとりさん:その困りごとは、施設の目標だけを変えても解決しそうにないのう。FMの仕事の土台を確かめる必要がありそうじゃ。
🐥 まずは3択クイズ!記録が見つからないときは?
ある会社では、設備の点検は行われています。しかし、記録の保存場所や書き方が担当者によって異なり、過去の状態を調べるのに時間がかかっています。改善に向けて適切なのはどれでしょう?
A.点検が終わっているなら、記録の管理は気にしない。
B.情報管理の仕組みを点検し、どこに課題があるかを確かめる。
C.記録を探すのが得意な一人に、すべて任せる。
😸うちのねこさん:その人がお休みの日は、記録も一緒にお休みするニャ。
🐥💦:あっ、それは困る。人の頑張りだけで何とかしている状態なんだね。
🐶うらのいぬさん:正解はBです。記録の作成・保存・共有の方法を確かめ、業務に支障が出ている原因を整理します。設備の状態と同じように、FMの情報管理も改善の対象になります。
🏢 改善するのは、施設の目標だけではない
公式ガイドでは、改善方針の対象は、品質・財務・供給の目標管理だけではないと説明しています。FMの業務そのものが、うまく進まなくなる場合もあるからです。
例として挙げられているのは、蓄積したFM情報の管理不備、データベースシステムの見直し、FM組織の人員不足などです。こうした課題は、FM全体の仕事を支える統括マネジメントに関わります。
🐥❓:点検記録を探せないのは、建物の故障とは違うけど、放っておくと保全の判断も難しくなるよね。
🐔✨:そうじゃ。施設をよくする仕事を続けるには、その仕事を支える情報や体制も整っていなければならんのじゃよ。
内部監査を身近にたとえるなら、FMの仕事の仕組みの健康診断です。誰かの失敗を探すためではなく、日々の仕事に無理やつまずきがないかを確かめ、早めに手当てするために行います。
第5章で学んだ統括マネジメントとの関係を、三つの角度から見てみましょう。
| 点検する角度 | 第5章で学んだ土台 | ⑦で確かめることの例 |
|---|---|---|
| 情報 | データ管理 | 必要な記録を探し、判断に使えるか。 |
| 人 | 組織体制 | 役割や責任が明確で、人数に無理がないか。 |
| 手順 | 組織の運営、標準と規程 | 決めた進め方が実態に合い、引き継げるか。 |
※この三分類は、記事を読みやすくするための整理です。公式ガイドが内部監査を「情報・人・手順」の三項目に分類しているという意味ではありません。
🔍 FMの内部監査では、何を確かめる?
内部監査は、FMの組織内で業務の進め方や管理の状態を点検する方法です。たとえば、次のような問いから、仕組みと実態の間にある差を確かめます。
これらは読者がイメージしやすいように整理した点検の例です。すべての組織に同じチェック項目や監査方法が義務付けられている、という意味ではありません。
😼:決まりが立派でも、誰も記録を取り出せなかったら、使える仕組みとは言いにくいニャ。
🐥💡:書類があるかだけじゃなく、仕事の中で本当に役立っているかを見るんだね。
🧭 見つけた課題を、仕組みの改善へ
FMの内部監査で課題が見つかったら、誰か一人の失敗と決めつけず、なぜ起きているかを確かめます。記録の保存先が分かりにくいのか。入力のルールがそろっていないのか。担当者の人数や役割に無理があるのか。原因によって、改善の方向は変わります。
たとえば記録の管理なら、保存方法や共有の手順を整えることが考えられます。人員や権限の問題なら、組織体制を含めた検討が必要です。課題を明らかにし、統括マネジメントの中で改善方針につなげます。
🐶💡:監査で「問題あり」と書くだけでは、仕事はよくなりません。何を見直すかを決め、その後、実際に使いやすくなったかも確かめることが大切です。
🐥:記録がすぐ見つかるようになれば、設備の変化にも早く気づけそうだね。
🐔:そうじゃ。仕事の土台が整うと、施設のための判断もしやすくなるんじゃよ。
🌱 改善が続く仕組みをつくる
担当者が頑張って課題を見つけても、その人だけが覚えている状態では、改善は続きにくいものです。情報を残し、役割を分け、定期的に仕事の進め方を確かめる。内部監査は、そうした仕組みが働いているかを見直す機会になります。
第5章で学んだ統括マネジメントは、FM全体を支える仕事でした。第10章では、その仕組み自体に課題が見つかったとき、どう改善につなげるかを考えています。
😼:名人だけが分かる棚より、みんなが使える棚のほうが頼もしいニャ。
🐥✨:うん。人が替わっても続けられることが、施設を長く支える力になるんだね。
📚 ポイントまとめ
- 改善の対象には、施設の目標だけでなく、FMの情報管理・組織体制・仕事の手順も含まれる。
- 内部監査は、仕事の仕組みが実際に機能しているかを確かめる機会になる。
- 見つかった課題は原因を整理し、統括マネジメントの改善方針につなげる。
☀️ 今日のまとめ
よい仕事を続けるには、働く人の頑張りだけでなく、その人を支える仕組みも必要です。内部監査は、FMの仕事の小さなつまずきに気づき、次へ進む道を整える「仕組みの健康診断」なのです。
🐥:記録も役割も、誰か一人しか分からないままだと困るもんね。ぼく、みんなが次につなげられる仕組みって大切だと思ったよ。
😼:名人の引き出しの中より、みんなが開ける棚のほうが頼もしいニャ。
🎮 次回予告
自分たちで仕事を点検することに加えて、外からの視点が役立つこともあります。次回は第三者の監査による改善(FM監査)を見ていきます。
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📖 参考資料・関連情報
公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会編『公式ガイド ファシリティマネジメント』第10章「改善」
- 10.4「改善の仕組みづくりとFM監査」
- 10.4.1「統括マネジメントにおける改善(内部監査)」
この記事では、公式ガイドに示された、目標管理に加えてFMの情報管理や組織体制も改善の対象になるという考え方と、内部監査を改善の仕組みに組み入れる位置づけを確認しました。
点検記録が見つからない職場を題材にした3択クイズや、内部監査で確かめる問いの例は、初心者が業務の仕組みを思い浮かべられるように加えた独自の再構成です。
本記事は公式ガイドの内容を参考にしていますが、原文の文章・図表を引用したものではなく、筆者が独自に再構成した解説です。
- 公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会
日本におけるFMの普及と、ファシリティマネジャーの育成を行っている公式団体です。