建物の一生とFMについて、第3章では、設計、運用、予防保全、改修、そして役目を終えるときまでを学んできました。
建物は、完成したらそれで終わりではありません。使う人や社会の変化に合わせて手を入れながら、長い時間を歩んでいきます。
今回は、第3章で学んだ5つの基本をクイズで振り返ります。ぴよまるたちと一緒に、建物の一生をたどってみましょう。
🧭 建物の一生とFMを5問のクイズで振り返ろう
🐥ぴよまる:第3章では、建物が生まれる前から、役目を終えるところまで見てきたね。
🐔にわのとりさん:うむ。建物の時間を長い目で見ると、FMの役割もつながって見えてくるのじゃ。
😸うちのねこさん:オレが快適に過ごせる建物をつくり、守り、育てる章だったニャ。
🐶うらのいぬさん:だいぶ自分向けにまとめましたね。それでは、5問のクイズで確認していきましょう。
第1問 FMはいつから建物に関わる?
新しい建物をつくることになりました。FMの視点を取り入れるのに適した時期は、いつでしょう?
- A.建物に不具合が起きてから
- B.建物を計画・設計している段階から
- C.完成して10年ほど経過してから
🐥:FMは建物を管理する仕事だから、完成したあとかな。でも、もっと早かったような……。
😸:オレの寝床の場所を決める前から、相談してほしいニャ。あとで日当たりが悪いと困るニャ。
🐶:正解は、Bの「建物を計画・設計している段階から」です。
建物ができる前にFMの視点を取り入れると、点検や清掃のしやすさ、設備の交換方法、将来のレイアウト変更などを設計に反映できます。
建設費だけを見るのではなく、完成後にかかる運用費や修繕費まで考えることが大切です。
🐔:最初の計画が、その後の使いやすさや管理のしやすさを左右するのじゃ。
📚 第1問のポイント
- FMは、建物の計画・設計段階から関わることが望ましい。
- 建設後の点検、清掃、修繕、設備更新まで考えて設計する。
- 最初に少し先を見通すことで、将来の負担を抑えられる。
第2問 建物の運用管理が守っているものは?
建物が完成し、利用が始まりました。建物の運用管理が支えているものは、どれでしょう?
- A.建物の見た目だけ
- B.設備の点検だけ
- C.安全・快適・衛生的に使える日常
😸:心地よい室温、静かな部屋、清潔な床、それから時間どおりに届く食事ニャ。
🐥:最後の一つは、建物の運用管理とは関係ない気がするよ。
🐶:正解は、Cの「安全・快適・衛生的に使える日常」です。
空調や照明の調整、清掃、警備、設備の点検、不具合への対応など、建物の運用管理にはさまざまな仕事があります。
また、エネルギーの使用量や利用者の声を確認し、使い方を改善することもFMの役割です。
🐔:建物を動かすだけではなく、その中で行われる活動を支えるのがFMなのじゃ。
📚 第2問のポイント
- 建物の完成は、運用の始まり。
- FMは安全性、快適性、衛生、使いやすさを支える。
- 記録や利用者の声を、日々の改善につなげる。
第3問 故障する前に手を入れる考え方は?
設備がまだ動いている段階で、点検や部品交換を行いました。この考え方を何というでしょう?
- A.予防保全
- B.事後保全
- C.現状維持
🐥:壊れる前だから、予防保全かな。
😸:オレは、おなかがすく前に食べておく予防給餌を実践しているニャ。
🐶:正解は、Aの「予防保全」です。
予防保全とは、故障や事故が起きる前に、点検や整備を行う考え方です。
建物や設備には、目に見えにくい場所もあります。配管、防水層、空調設備などの小さな変化を早めに見つければ、突然の停止や大きな事故を防ぎやすくなります。
ただし、すべてを早く交換すればよいわけではありません。設備の状態、故障した場合の影響、修理費などを比べ、適切な時期を判断します。
🐔:記録を残して変化を追うことが、先を読む手がかりになるのじゃ。
📚 第3問のポイント
- 予防保全は、故障や事故が起こる前に点検・整備する考え方。
- 小さな異常を早く発見すると、大きなトラブルを防ぎやすい。
- 状態や重要度に応じて、手を入れる時期を判断する。
第4問 建物を今の必要に合わせて良くするのは?
古くなった建物に省エネ設備を導入し、段差をなくして、現在の使い方に合う空間へ変えることになりました。これは何に当たるでしょう?
- A.元の状態に戻すための修繕だけ
- B.建物の機能や価値を高める改修
- C.日常的な清掃
🐥:壊れたところを直すだけじゃなく、前より使いやすくするから改修かな。
😸:オレ専用の見晴らし台を新設すれば、建物の価値が大きく高まるニャ。
🐶:誰にとっての価値なのかは検討が必要ですが、正解は、Bの「建物の機能や価値を高める改修」です。
修繕は、傷んだ部分を元の状態に近づけることが中心です。一方、改修は、現在の要求に合わせて建物の性能や使いやすさを向上させることを指します。
省エネルギー化、バリアフリー化、耐震性の向上、働き方に合わせたレイアウト変更などが例として挙げられます。
🐔:古くなったから終わりと考えず、手を加えて生かす道を探すのじゃ。
📚 第4問のポイント
- 修繕は、傷んだ部分を元の状態に近づける。
- 改修は、建物の性能や使いやすさ、価値を高める。
- 用途や利用者の変化に合わせて、建物を育てていく。
第5問 使わなくなった建物をどうする?
ある建物が、これまでの役目を終えることになりました。FMの考え方として適切なのはどれでしょう?
- A.使わなくなったら、必ずすぐに解体する
- B.何も決めず、そのまま残しておく
- C.再利用、用途変更、貸付、売却、解体などを比較する
😸:まずはオレに譲るという選択肢を加えるニャ。全館を有効に使ってみせるニャ。
🐥:ものすごく広い昼寝場所になりそうだね。
🐶:正解は、Cの「再利用、用途変更、貸付、売却、解体などを比較する」です。
建物が現在の役目を終えても、別の使い道が見つかることがあります。改修して使い続ける、別の用途に変える、ほかの人に貸す、売却するなど、複数の方法を検討します。
解体する場合も、安全対策、有害物質の調査、資材の分別や再資源化、跡地の利用などを考えなければなりません。
建物の一生とFMの関係は、利用者が退去したところで終わるわけではないのです。
🐔:残す場合も、役目を終えさせる場合も、将来への影響を考えて決めることが大切なのじゃ。
📚 第5問のポイント
- 建物が不要になっても、すぐに解体するとは限らない。
- 再利用、用途変更、貸付、売却、解体などを比べる。
- 解体後の土地利用や、資材の再資源化まで考える。
🔄 建物の一生とFMは、一本の線でつながっている
🐥:5問を並べると、建物が生まれる前から、役目を終えるところまでつながって見えるね。
建物のライフサイクルは、おおまかに次のように進みます。
企画・計画 → 設計 → 建設 → 運用 → 維持保全 → 改修・用途変更 → 売却・解体・次の活用
ただし、いつも一直線に進むわけではありません。
運用中に見つかった不便を改修で改善したり、用途を変えて再び使い始めたりすることもあります。建物を使って得られた経験は、次の施設を計画するときの材料にもなります。
🐶:FMは、それぞれの段階で得られた情報を、次の判断へつなぐ役割を持っています。
🐔:建物の一生をばらばらの作業としてではなく、つながった時間として見るのじゃ。
😸:オレの昼寝場所も、計画、運用、改善を繰り返して完成度を高めているニャ。
🐥:ねこさんも、独自のPDCAを回しているんだね。
📚 第3章のポイントまとめ
- 建物は、計画から運用、改修、役目を終える段階まで続くライフサイクルを持つ。
- 設計段階から維持管理を考えると、完成後の負担を減らしやすい。
- 日常の運用管理が、安全・快適・衛生的な環境を支えている。
- 予防保全では、小さな異常を早く見つけ、故障や事故を防ぐ。
- 改修や用途変更によって、古い建物を生かせる場合がある。
- 建物の一生とFMを長い目で捉え、次の計画や活用へ経験をつないでいく。
✨ 今日のまとめ
🐥:最初は、FMって完成した建物を管理する仕事だと思っていたよ。
🐔:建物を管理することも大切な仕事じゃ。しかしFMは、建物そのものだけを見るわけではないのじゃ。
🐶:そこで活動する人、組織の目的、費用、安全性、環境への影響などを考え、建物をより良く使う方法を探します。
😸:つまり、建物と人の暮らしを裏側から整える仕事ニャ。オレの快適さも、その大きな流れの一部ニャ。
🐥:最後だけ少しねこさん寄りだけど、建物の一生とFMのつながりが分かったよ。
建物には、計画されるときがあり、使われる時間があり、変化するときがあり、やがて役目を終えるときがあります。
FMは、その一つひとつの場面で情報を集め、人と建物のこれからを考えます。
建物の一生を長い目で見つめると、目の前の点検や修繕も、未来へ続く大切な仕事として見えてきます。
🎮 次回予告:第4章① FMの標準業務とは?
~たくさんあるFMの仕事を、地図のように整理しよう~
建物の一生に、さまざまなFMの仕事が関わっていることが分かりました。
次回からは、その仕事をどのように整理し、計画し、進めるのかを学びます。
🔗 関連記事
- 設計段階のFMとは?建物ができる前の役割|第3章①
- 建物の運用管理とは?FMが支える安全・快適な日常|第3章②
- 建物の予防保全とは?故障を未然に防ぐFM|第3章③
- 建物の改修とは?古い建物を生かすFM|第3章④
- 建物のライフサイクルとは?役目を終えるまでのFM|第3章⑤
📖 参考資料・関連情報
- 『公式ガイド ファシリティマネジメント』第3章「経営環境とファシリティマネジメント」3.1.1「地球環境保全」b「地球環境保全とFM」(2)「建物関連の環境負荷低減」
- 第3章①〜⑤で参照した『公式ガイド ファシリティマネジメント』の関連項目
- 建築物の適正な維持保全の推進について|国土交通省
- 石綿総合情報ポータルサイト|厚生労働省