品質目標の改善とは、施設に求める安全性や使いやすさなどが、今の状況に合っているかを確かめ、必要に応じて目標を見直すことです。
第9章では施設の品質を評価しました。そこで課題が見つかったら、単に「もっときれいにしよう」と考えるだけで十分でしょうか。今回は、評価結果から次の目標へ進む道筋を見ていきます。
🐥ぴよまる:エントランスがきれいだと、気持ちよく入れるよね。でも、見た目だけで品質を決めていいのかな?
🐔にわのとりさん:よい疑問じゃ。人が安心して使えることも、仕事に合った環境であることも大切じゃよ。
🐥 まずは3択クイズ!品質の目標はどう見直す?
利用者から「夕方になると共用スペースが汚れていて、使いにくい」という声が増えました。現在の清掃は、決められた回数どおりに実施されています。品質目標の改善を考えるとき、適切なのはどれでしょう?
A.決められた回数を守っているので、何も変えない。
B.利用状況と求める清潔さを確かめ、品質目標や計画を見直す。
C.原因を調べず、すべての場所の清掃回数を倍にする。
😸うちのねこさん:夕方だけ汚れるなら、そこに何か理由がありそうだニャ。
🐥❓:回数を守っていても、使う人が困っているなら、そのままでいいとは言えないよね。
🐶うらのいぬさん:正解はBです。いつ、どの場所で、どんな使われ方をしているかを確かめます。そのうえで、求める品質と現状の差を整理し、目標や計画を見直す必要があるか考えます。
🏢 品質目標は「どんな状態を目指すか」
FMの品質には、清潔さや快適さだけでなく、安全性、施設の使いやすさ、環境への配慮など、さまざまな面があります。第9章では、それらを複数の視点から評価しました。
第10章で考えるのは、評価で見えた課題を踏まえて、これからどんな品質を目指すべきかということです。建物が古くなった、利用する人が変わった、法令が改正されたなど、以前の目標を見直すきっかけは一つではありません。
🐥:同じ建物でも、ずっと同じ目標でいいわけじゃないんだね。
🐔✨:そうじゃ。施設を取り巻く条件が変われば、求める品質も確かめ直す必要があるんじゃよ。
🧭 評価で見えた差を、改善方針にする
先ほどの共用スペースなら、「清掃の回数は守られている」という記録と、「夕方は使いにくい」という利用者の声の両方を見ます。利用が集中する時間に汚れやすいのか、清掃する場所や方法が実態に合っていないのか。まずは状況を確かめます。
その結果、「利用が集中する時間帯にも、快適に使える状態を保つ」という品質目標を検討できます。具体的に清掃の時間を変えるか、設備や使い方を見直すかは、その目標を受けて計画する段階の話です。
😼:決めた仕事をちゃんとやっていても、目指す状態に届いていないことがあるんだニャ。
🐥💡:あっ。「予定どおりにやった?」と「使いやすい状態になった?」は、同じ質問じゃないんだ。
🐶💡:そのとおりです。利用者の声だけで決めず、記録や現場の状況とも合わせて考えることが大切です。
🛡️ 安全に関わる課題は、重みが違う
公式ガイドでは、品質目標の見直しの例として、安全性、法令改正に対応する環境性能、大規模改修による施設品質の向上などを挙げています。安全性の課題は人命に関わるため、変更の規模が小さくても優先して検討すべきものです。
たとえば避難の妨げになる物が見つかった場合、将来の計画を待たず、状況に応じて必要な安全確保を進めます。そのうえで、再発しないように施設の使い方や管理の目標を見直すことも考えます。
🐥💦:安全の問題まで、「次の計画ができるまで待とう」では困るね。
🐶❗:はい。差し迫った危険への対応と、FMの品質目標を見直す仕事は、つながっていますが役割が異なります。法令上必要な対応も、改善方針とは別に確認して進めます。
🐔:目の前の人を守りながら、次も安心して使える仕組みを考えるんじゃな。
🔄 改善方針を、施設品質計画へつなぐ
評価で明らかになった品質の課題は、改善方針としてFM戦略・計画へ引き継ぎます。そこで品質目標を見直し、中長期実行計画の施設品質計画として、具体的な取り組みを考えます。
取り組みの内容によって、日々の運営方法の見直しで進められる場合もあれば、改修などのプロジェクトが必要な場合もあります。費用や実施時期、利用者への影響も一緒に検討します。
🐥❓:品質を上げたいと思っても、方法は一つじゃないんだね。
🐔:うむ。まず「どんな状態が必要か」をはっきりさせてから、ふさわしい方法を探すんじゃ。
📚 ポイントまとめ
- 品質目標の改善では、評価で分かった課題を踏まえ、施設に求める品質を見直す。
- 利用者の声と記録、施設の状態を合わせて、目標と現状の差を確かめる。
- 人命に関わる安全性の課題は優先して扱い、必要な対応を進める。
- 改善方針はFM戦略・計画へ引き継ぎ、施設品質計画として具体化する。
☀️ 今日のまとめ
決められた清掃や点検を実施していても、施設を使う人の状況が変われば、目指していた品質との間に差が生まれることがあります。
品質目標の改善は、その差を見つめ、「これからどんな状態を守り、育てたいか」を考える仕事です。気づいた小さな違和感が、安全で使いやすい場所をつくる次の一歩になります。
🐥✨:ぼく、ピカピカかどうかだけじゃなく、安心して使えるか、仕事に合っているかも見てみるよ。
😸:ふかふかさも……利用者の声の一つとして聞いてほしいニャ。
🎁 おりたたみ劇場|避難訓練とFMはどうつながる?
🐥:学校でやった避難訓練を思い出したよ。あれもFMだったの?
🐔:学校の避難訓練を、そのままFM業務と呼ぶわけではないぞ。ただ、施設を安全に使うために避難経路や役割を確かめるという点は、FMの安全性を考えるときにもつながるんじゃ。
😼:通れると思っていた道に物が置いてあったら、訓練で気づけるかもしれないニャ。
🐶:そうですね。見つかった問題には必要な対応を行い、施設の安全管理を見直す手がかりにできます。避難訓練と事業継続計画(BCP)は関係することがありますが、同じものではありません。
🐥💡:訓練で分かったことを、次の安全につなげるんだね。
🎮 次回予告
次回は財務目標の改善です。施設の供給や品質を見直すとき、投資や日々の費用はどう考えればよいのでしょうか。
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📖 参考資料・関連情報
公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会編『公式ガイド ファシリティマネジメント』第10章「改善」
- 10.3.2「品質目標における改善方針の立案」
この記事では、公式ガイドに示された安全性や環境性能などの品質目標の見直し、評価から改善方針を立てて施設品質計画へつなぐ関係を確認しました。
夕方の共用スペースを題材にした3択クイズや、避難訓練から安全管理とのつながりを考えるおまけ劇場は、初心者が品質目標の改善を身近に捉えられるように加えた独自の再構成です。
本記事は公式ガイドの内容を参考にしていますが、原文の文章・図表を引用したものではなく、筆者が独自に再構成した解説です。
- 公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会
日本におけるFMの普及と、ファシリティマネジャーの育成を行っている公式団体です。