FMの改善は経営戦略とどうつながる?方針の二つの行き先|第10章③

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FMの改善と経営戦略は、どうつながるのでしょうか。FMの評価から見つかった課題には、次のFM戦略・計画で扱えるものと、会社全体で考える必要があるものがあります。

第10章①では改善という仕事の流れを、②では課題を捉えるファシリティマネジャーの役割を見ました。今回は、考えた改善方針をどこへ届けるか、地図を広げてみましょう。

🐥ぴよまる:困りごとが見つかったら、FMの計画を直していけばいいのかな?

🐔にわのとりさん:それで進められることもある。じゃが、施設の工夫だけでは解決できない課題もあるんじゃよ。

🐥 まずは3択クイズ!改善方針はどこへ向かう?

会社で働き方が大きく変わり、出社する人の数も、オフィスに求める役割も変化しました。施設の評価から、その変化に現在のオフィスが合っていないと分かりました。FM部門は、まず何を考えるべきでしょう?

A.空いている席を、すぐにすべて撤去する。
B.施設の使い方で対応できることと、会社全体で決めるべきことを整理する。
C.働き方はFMと関係ないので、何もしない。

😸うちのねこさん:オレなら空いた席を使いたいけど、明日はまた人が増えるかもしれないニャ。

🐥❓:そうか。今日の空き具合だけで、席の数を決めちゃいけないんだね。

🐶うらのいぬさん:正解はBです。席の配置や施設の使い方はFMで検討できます。一方、今後どんな働き方を目指すかは、経営や各部門とも関わる課題です。改善方針の行き先を見極める必要があります。

🗺 改善方針には、二つの行き先がある

公式ガイドでは、改善方針をフィードバックする方向として、経営戦略とFM戦略・計画の二つを示しています。

  • FM戦略・計画へ:FMの目標や施策を見直し、施設やサービスの計画として具体化する。
  • 経営戦略へ:FM部門だけでは解決できない、会社全体に関わる課題として改善方針を提案する。

どちらも評価で見えた課題から始まります。ただし、課題がどこまで広がっているかによって、判断に加わる人や、次に検討すべきことが変わります。

🐥:FMの中で考えられることと、会社全体で方向を決めないと進められないことがあるんだね。

🐔✨:うむ。現場で見つけた課題だからといって、答えまで現場だけで決められるとは限らんのじゃ。

🏢 FM戦略・計画へ返すのは、どんなとき?

たとえば、利用人数に対して会議スペースが足りない、設備の劣化が進んでいる、清掃の内容が利用者の求める状態と合っていない。こうした評価結果から、施設の供給や品質の目標を見直す方針を立て、FM戦略・計画へ返します。

そこでは、必要な施策や実施時期を検討し、中長期実行計画へ具体化していきます。増床や大規模な改修なら、プロジェクトや投資も関係します。日々の運営やサービスの見直しで対応できる場合もあります。

そして、どちらの場合もお金の視点は欠かせません。施設を増やすなら投資だけでなく、その後の運営費も考える必要があります。品質を高める場合も、どの方法が適切かを検討します。

😼:広くすれば解決、と思ったら、使い続ける費用も増えるかもしれないニャ。

🐶💡:そうですね。品質・財務・供給は別々の箱ではありません。一つの改善方針が、複数の目標に関わることがあります。

🐥💡:だから、次の計画を立てるときは、三つを一緒に見渡すんだ。

🌍 経営戦略へ届けるのは、どんなとき?

一方、働き方そのものを変える、複数の組織を統合するなど、施設の配置や運営方法だけでは解決できない課題もあります。

たとえば、会社が出社と在宅勤務をどう組み合わせるか決めていないのに、FM部門だけで「必要なオフィス面積」を確定することは難しいでしょう。施設の評価を通じて見えた課題を、働き方や組織運営に関わる提案として経営へ届けることが必要になります。

経営方針が新たに定まれば、それを受けてFM戦略・計画も組み立て直します。施設から見えた課題が経営の判断材料になり、その判断が再び施設の計画に戻ってくるのです。

🐥❓:つまり、FMから経営へ「こんな課題があります」と伝える道もあるんだ?

🐔:そのとおりじゃ。経営の方針を受け取るだけでなく、施設と利用者の現状から見えたことを伝える役割もある。

😼✨:地図に載っていない道を見つけたら、地図を描く人にも知らせるニャ。

🧭 「どこを直す?」の前に「誰と決める?」

元記事では、改善を「経営の地図」につなげて考えていました。その視点は大切です。ただ、評価で課題が見つかったとき、経営目標から施策を逆算するだけでは足りない場合があります。現場で起きている変化そのものが、経営の方針を見直す手がかりになるからです。

改善方針を考えるときは、まず課題の広がりを見ます。FMの目標や施策を見直せば対応できるのか。働き方や組織の方向まで関わるのか。それを見極めることで、必要な人と一緒に次の一歩を決められます。

🐥✨:ぼく、「思いついた順に直す」のとは違うって分かったよ。課題の大きさを見て、届ける先を考えるんだね。

🐶✨:はい。改善方針は、次の判断をする人たちへ渡す道しるべになります。

📚 ポイントまとめ

  • 評価から生まれた改善方針には、FM戦略・計画と経営戦略という二つの行き先がある。
  • FMの目標や施策で扱う課題は、FM戦略・計画へ返して具体化する。
  • 施設の工夫だけでは解決できない全社的な課題は、経営戦略へ提案する。
  • 経営方針が変われば、FM戦略・計画もその方針を受けて見直す。

☀️ 今日のまとめ

施設で見つけた一つの課題も、たどっていくと、使い方の見直しで解決できることもあれば、会社全体の方向に関わることもあります。

改善は、その違いを見極め、考えた方針を必要な場所へ届ける仕事です。現場で見つけた小さな気づきが、次の計画を描く手がかりになります。

🎮 次回予告

次回からは、改善方針をもう少し具体的に見ていきます。まずは供給目標の改善。施設の広さや使い方が、今の需要と合わなくなったらどう考えるのでしょうか。

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📖 参考資料・関連情報

公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会編『公式ガイド ファシリティマネジメント』第10章「改善」

  • 10.2「改善と経営戦略、FM戦略・計画との関係」
  • 10.2.1「経営戦略との関係」
  • 10.2.2「FM戦略・計画との関係」
  • 図表10.2.1「FMの標準業務サイクルにおける改善の位置づけ」

この記事では、公式ガイドに示された改善方針の二つのフィードバック先と、経営戦略からFM戦略・計画へ再びつながる関係を確認しました。図表は転載せず、本文の説明として整理しています。

働き方の変化とオフィスの使い方を題材にした3択クイズや、「改善方針の行き先を地図で考える」という説明は、初心者が課題の広がりを思い浮かべられるように加えた独自の再構成です。

本記事は公式ガイドの内容を参考にしていますが、原文の文章・図表を引用したものではなく、筆者が独自に再構成した解説です。

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