プロジェクト管理のプロセスとは?計画から評価までの道筋|第7章②

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プロジェクトの進め方には、目指す未来を確認する計画段階から、成果を確かめる完了時評価まで、一つの道筋があります。

前回は、プロジェクト管理が、FM戦略や中長期実行計画を具体的な行動へ移す仕事であることを学びました。

けれど、目的地が決まっていても、進む順番が分からなければ、途中で迷ってしまいます。

今回は、FMプロジェクトの標準的なプロセスと、節目ごとに必要となる経営者の承認について見ていきましょう。

🐥ぴよまる:未来へ向かって出発するぞ!……あれ、最初はどっちへ進めばいいんだろう?

🐔にわのとりさん:よい意気込みじゃが、いきなり走り出してはいかん。まずは、プロジェクト全体の道筋を確かめるのじゃ。

🧭 クイズ:プロジェクトの進め方で最初にすることは?

FMプロジェクトを始めるとき、最初に行うこととして最も適切なのはどれでしょうか。

  • A.すぐにサービス提供者を決めて発注する
  • B.プロジェクトの目的や目標を整理し、基本方針を作る
  • C.先に完成後の記念写真を撮る場所を決める

🐥:発注しないと何も始まらない気もするけど、その前に決めることがありそうだなあ。

😸:オレはCも大事だと思うニャ。窓から光が入る場所なら、毛並みも美しく写るニャ。

🐶うらのいぬさん:正解はBです。

プロジェクトでは、最初に「なぜ行うのか」「何を実現したいのか」を整理し、基本方針を作ります。

Aのように、目的や条件が固まる前に発注すると、必要なものと違う提案を選んだり、後から大きな変更が必要になったりするおそれがあります。

Cは、プロジェクトが無事に終わってから考えても遅くありません。ねこさんの撮影会は、まだ議題に上がっていません。

🗺️ プロジェクトの進め方は「計画」と「実施」に分かれる

公式ガイドでは、プロジェクトの標準的なプロセスを、大きく計画段階と実施段階に分けています。

段階 主な役割
計画段階 目的、現状、要求条件などを整理し、実行できる計画へまとめる
実施段階 計画にもとづいて調達・契約・納品・検収を進め、結果を評価する

計画段階は、単なる準備運動ではありません。

何を目指し、どの条件を守り、どのような方法で実現するのかを整理する、プロジェクトの土台となる段階です。

実施段階では、その計画を現実へ移します。ただし、計画どおりに機械的に進めるわけではありません。途中で起きた変化や問題に対応しながら、品質・予算・納期などを管理します。

🐥:計画はスタート前、実施はスタート後っていうだけじゃないんだね。

🐔:うむ。計画段階で考えたことが、実施段階の判断基準になるのじゃ。

📝 計画段階の4つのプロセス

計画段階は、次の4つのプロセスで構成されます。

  1. 基本方針の作成
  2. 実態の把握
  3. 要求条件の作成
  4. 基本計画の作成

1.基本方針の作成

中長期実行計画にもとづき、プロジェクトの目的や目標、内容、条件、概算予算、スケジュール、体制などを整理します。

ここでは、「何をするか」だけでなく、なぜこのプロジェクトが必要なのかを明確にすることが大切です。

2.実態の把握

対象となる施設や設備、利用状況、費用、制約条件、社会の変化、過去の類似事例などを調べます。

現在地が分からないまま未来の計画を立てると、現実と合わない計画になってしまいます。

3.要求条件の作成

経営者、利用者、関係部門、FM部門などから出された要望を整理し、プロジェクトとして満たすべき条件へまとめます。

すべての希望をそのまま並べるのではなく、必要性、優先順位、予算、期間、実現可能性などを考えながら整理します。

4.基本計画の作成

基本方針、実態把握、要求条件をもとに、プロジェクトをどのように実現するかを計画します。

費用、時期、方法、体制などを検討し、実施へ進める内容としてまとめます。

🐥:最初に思いついた案を、そのまま計画にするわけじゃないんだね。

🐶:はい。現在の状態と必要な条件を確かめてから、実行できる計画へ整えていきます。

🚶 実施段階の6つのプロセス

基本計画が承認されると、プロジェクトは実施段階へ進みます。

公式ガイドの標準プロセスでは、次の6つに整理されています。

  1. 実施計画の作成
  2. 購買
  3. 選定・契約
  4. 納品
  5. 検収
  6. プロジェクト完了時評価

5.実施計画の作成

基本計画をもとに、実施に必要な作業、スケジュール、予算、役割分担、発注方法などを具体化します。

建設や改修を伴う場合は、設計や工事の工程もここへ組み込まれます。

6.購買

必要なサービスや物品を調達するため、発注内容や選定方法を整えます。

何を、どのような条件で、誰に依頼するのかを明確にします。

7.選定・契約

候補となるサービス提供者の提案、価格、技術、実績などを確認し、プロジェクトに適した相手を選びます。

選定後は、業務範囲、費用、納期、責任、成果物などを契約で明確にします。

8.納品

契約にもとづいて、工事、サービス、設備、物品などが提供されます。

納品までの間も、進捗、品質、予算、変更などを確認します。

9.検収

提供された工事、サービス、設備、物品などが、契約内容や要求条件を満たしているか確認します。

見た目が完成しているだけでなく、必要な機能や性能を備え、利用できる状態になっているかを確かめます。

10.プロジェクト完了時評価

プロジェクトが完了したら、予算、要求条件、スケジュール、利用者満足度などを評価します。

そこで得た結果や知見は、施設の改善、次のプロジェクト、FM戦略や中長期実行計画の見直しへ活用します。

😸:完成したら解散、ではないんだニャ。

🐥:歩いてみて分かったことを、次の地図に書き込むんだね。

🔀 標準プロセスは一本道とは限らない

ここまで、プロジェクトの流れを10のプロセスに分けて見てきました。

ただし、これはすべてのプロジェクトを同じ形へ押し込むための手順ではありません。

公式ガイドでも、このプロセスは標準的なモデルであり、画一的なものではないと説明されています。

プロジェクトの種類や規模によっては、複数の工程を並行して進めたり、前の工程へ戻って内容を見直したりすることがあります。

たとえば、要求条件を整理した結果、当初の概算予算では実現できないと分かれば、基本方針や優先順位を見直す必要があります。

また、実施中に新しい条件が加われば、予算やスケジュールへの影響を確認し、計画を修正することもあります。

🐔:道筋は必要じゃが、地図どおりにしか歩けないわけではない。状況を見ながら、安全に目的地へ近づくことが大切なのじゃ。

🎓 経営者の承認はプロジェクトの節目で行う

プロジェクト管理では、必要な場面で経営者の承認を得ることが重要です。

承認は、形式的な「お墨付き」ではありません。組織として進む方向や、経営資源の使い方を確認するための意思決定です。

公式ガイドでは、主な承認の場面として、次の4つを挙げています。

1.プロジェクト実施の承認

中長期実行計画にもとづいてプロジェクトを始める段階で、承認を得ます。

目的・目標、内容、条件、概算予算、スケジュール、体制などを基本方針としてまとめ、組織の正式なプロジェクトとして決定します。

2.要求条件の承認

要求条件をまとめる際は、経営者、利用者、関係部門などの要望を確認します。

組織へ大きな影響を与える条件については、十分に経営者と協議し、承認を得ます。

3.予算と時期についての承認

基本計画段階では、概算予算と大まかな時期について承認を得ます。

その後、実施内容が具体化した段階で、精度を高めた実施予算やスケジュールを示し、必要な支出について改めて承認を得ます。

4.サービス提供者の選定・発注についての承認

外部の専門家や事業者へ依頼する場合は、選定方法、依頼条件、選定結果、発注内容などについて承認を得ます。

誰へ、何を、どのような条件で任せるのかを明確にし、契約や支出に対する責任を確認します。

🐥:承認って、最後に一回だけ印鑑をもらうことじゃないんだ。

🐶:はい。方向、条件、予算、発注先など、重要な判断が必要な節目で確認します。

😸:あとから「そんな話は聞いていないニャ」とならないための、大事な合図でもあるニャ。

🧰 プロジェクト管理のプロセスを支える共通業務

プロジェクトは、10の工程を順番に進めるだけでは動きません。

計画から実施までを通して、次のような共通業務がプロジェクト全体を支えます。

  • スケジュール管理:作業の順序や期限、進捗を確認する
  • コスト・予算管理:予算と実績を比較し、費用への影響を確認する
  • 品質管理:要求した機能や性能が確保されているか確認する
  • リスク管理:起こり得る問題に備え、発生時の影響を抑える
  • 変更管理:条件の変更が目的・予算・納期などへ与える影響を確認する
  • 発注管理:発注内容、権限、承認、契約などを適切に管理する
  • 情報共有:関係者が必要な情報を、必要な時期に確認できるようにする

公式ガイドでは、これらは建物建設やワークプレイスづくりだけでなく、ICT分野をはじめ、さまざまなプロジェクトに共通して使える業務体系であると説明されています。

道路を順番に進むことが「プロセス」だとすれば、予算やリスクなどの共通業務は、走行中に確認する燃料計や速度計、天気、道路情報のようなものです。

道だけを見ていても、安全に目的地へ着けるとは限りません。プロジェクト全体の状態を見ながら進めることが必要です。

📚 ポイントまとめ

  • プロジェクト管理のプロセスは、計画段階と実施段階に分かれる
  • 計画段階では、基本方針、実態、要求条件を整理し、基本計画を作る
  • 実施段階では、実施計画、購買、選定・契約、納品、検収、完了時評価へ進む
  • 標準プロセスは画一的なものではなく、プロジェクトに合わせて調整する
  • 経営者の承認は、実施、要求条件、予算・時期、選定・発注などの節目で得る
  • スケジュール、予算、品質、リスク、変更、発注などの管理が全工程を支える

🌤️ 今日のまとめ

プロジェクトの進め方は、作業を並べただけの手順書ではありません。

目的を確かめ、現在地を調べ、必要な条件を整理し、実行できる計画へ変える。そして、計画を動かし、成果を確かめ、得られた知見を次の計画へ返すための道筋です。

経営者の承認は、その道の途中にある大切な分岐点です。

そこで方向や条件を確認することで、プロジェクトが組織の目的から離れてしまうのを防ぎます。

🐥:道筋があるから、今どこにいて、次に何をすればよいか分かるんだね。

🐔:うむ。そして、道の途中で状況が変われば、立ち止まって地図を見直すことも必要なのじゃ。

😸:迷わないことより、迷ったときに現在地へ戻れることのほうが大事かもしれないニャ。

🐶:標準プロセスは、考え直す場所を見つけるための地図でもあるのです。

🎮 次回予告

次回は、第7章③「基本方針と実態把握とは?プロジェクトの出発点を整える」です。

プロジェクトの目的や目標を、どのように基本方針へまとめるのでしょうか。

そして、未来の計画を立てる前に、なぜ現在の施設や利用状況を詳しく調べる必要があるのでしょうか。

プロジェクトの出発点となる、基本方針と実態把握について学びます。

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📖 参考資料・関連情報

  • 『公式ガイド ファシリティマネジメント』第7章「プロジェクト管理」
  • 7.2「プロジェクト管理のプロセス」(131~132ページ)
  • 7.2 a「プロジェクトの標準プロセス」
  • 7.2 b「経営者の承認」
  • 図表7.2.1「プロジェクトの標準プロセス」(132~133ページ)
  • 7.3.1「プロジェクト管理の共通業務」(132ページ)

この記事では、公式ガイドに示されたプロジェクト管理の標準プロセスと、経営者の承認を得る主な場面を、初心者向けに整理しました。

基本方針、実態把握、要求条件、予算、体制、実施中の管理、検収、完了時評価については、第7章③以降で順に詳しく扱います。

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