管理職を減らす会社が増えている? BMW・Bayer・Amazonに見る「管理職の仕事」の変化

仕事・働き方

「BMWが管理職を約20%減らす」

そんなニュースを聞いたら、どう感じるでしょうか。

🐥ぴよまる:えっ。管理職って、そんなにいらなくなってきたの?

😸うちのねこさん:これから管理職になる人、ちょっと複雑な気分じゃないかニャ。

たしかに、BMWだけではありません。

海外の大企業では近年、管理職を減らしたり、管理階層を薄くしたりする動きが見られます。

ではこれは、

「管理職という仕事が必要なくなっている」

ということなのでしょうか。

それとも、

「これまで管理職がしていた仕事の中身が変わり始めている」

のでしょうか。

今回はBMWを入口に、Bayer、Amazon、Metaの取り組みも見ながら、「管理職削減」というニュースの中身を少しほぐしてみます。

この記事は2026年10月1日時点で確認できる情報をもとにしています。


BMWは、なぜ管理職を約20%減らすの?

BMWグループは2026年9月30日、経営効率を高めるための新しい方針を発表しました。

その中にあったのが、

2027年半ばまでに、事業部門とそれに伴う管理職ポストを20%削減する

という計画です。

さらに、その下の組織階層についても同程度の削減を進めるとしています。

BMWが掲げている目的は、単に「管理職の給料を減らしたい」という話ではありません。

会社は、業務プロセスを簡素化し、意思決定を速め、組織をより機動的にすることを目指しています。

そして、その改革を支えるものとしてAIも挙げています。

BMWはAIを、開発、調達、生産、アフターサービスなど幅広い業務に活用する方針です。

🐥❓:じゃあ、AIが管理職の代わりになるから20%減らすってこと?

🐶うらのいぬさん:そこは分けて考えたほうがよさそうです。BMWはAI活用と管理構造のスリム化を同じ改革の中で進めていますが、「管理職の仕事をAIが20%代替する」と発表したわけではありません。

🐔にわのとりさん:AIだけを見るより、会社の仕事の流れそのものを組み替えようとしている、と見たほうがよさそうじゃな。

ここは大事なところです。

「AI導入」→「管理職が不要」

という単純な話ではありません。


管理職を減らしているのはBMWだけではない

ほかの企業を見ると、もう少し輪郭が見えてきます。

Bayerは管理職ポストを大幅に削減

医薬品・農業関連大手のBayerは、「Dynamic Shared Ownership(DSO)」という新しい組織運営を進めています。

Bayerによると、この改革によって、

  • 管理階層を約半分に
  • 管理職ポストを約3分の2削減

しました。

かなり大きな改革です。

しかし、Bayerが目指しているのは「管理する人をなくすこと」ではありません。

これまで上司へ上げていた判断を、実際に仕事をしているチームへ近づける。

縦に長い指示系統を短くする。

部門の壁を越えてチームをつくる。

そうすることで、顧客や製品に近い場所で、より速く判断できる組織へ変えようとしています。

Amazonが減らしたかったのは「会議のための会議」

Amazonも2024年、一般社員に対する管理職の比率を見直す方針を打ち出しました。

各組織に対し、一般社員と管理職の比率を少なくとも15%改善するよう求めています。

背景について、CEOのアンディ・ジャシー氏はかなり具体的に説明しています。

会社が急成長する中で管理職が増え、組織の階層も増えました。

すると、

会議の前の打ち合わせ。

その打ち合わせの前の打ち合わせ。

決定するまでに何人もの管理職が確認する。

そんな状態が生まれていたというのです。

🐥💦:会議のための会議のための会議……。

😸:最初の会議で何を話す予定だったか忘れそうニャ。

Amazonが減らそうとしているのは、こうした階層による遅さです。

現場で仕事をしている人がもっと責任を持ち、不要な承認や会議を経ずに判断できるようにする。

そのために組織をフラットにしようとしています。


Metaも「階層を薄くする」と考えた

Metaも2023年の「Year of Efficiency(効率化の年)」で、複数の管理階層を取り除き、組織をフラットにする方針を示しました。

一部の管理職には、管理職ではなく個人として仕事を担う「individual contributor」へ移ることも求めました。

Metaが説明した理由も、Amazonとよく似ています。

管理階層が一段増えるたびに、情報や意思決定が届くまで時間がかかる。

そこで、実際に仕事をする人と意思決定をする人との距離を縮めようとしたのです。

一方で、Metaは当時の改革方針を説明する中で、管理職が適切な人数の部下を持つことも重視していました。

マーク・ザッカーバーグCEOは、一般論として「直属の部下が10人を超えると、管理職がその人たちと十分につながることが難しくなる」との考えを示しています。

ただし、これはMeta全社で「管理職1人につき部下は10人まで」と定めた固定的なルールを意味するものではありません。

組織をフラットにして管理職を減らす一方で、一人の管理職が抱える人数を際限なく増やせばよいわけでもない――そんな管理範囲の考え方を示した発言として捉えるのがよさそうです。

🐥💡:あれ?

🐥:管理職を減らしたい。でも、一人の管理職に何人でも任せればいいわけじゃない?

🐔:どうやら、その二つを一緒に考える必要がありそうじゃな。


4社に共通するのは「管理職不要」ではなかった

BMW、Bayer、Amazon、Meta。

会社も業界も違います。

改革の時期も事情も違うため、「世界中の会社が同じ方向へ向かっている」とまで言うことはできません。

それでも、4社の説明には似た言葉が登場します。

階層を減らす。

意思決定を速くする。

現場へ権限を近づける。

不要なプロセスを減らす。

つまり、少なくとも今回見た事例から浮かぶのは、

「管理職をなくす」というより、「管理職をたくさん必要とする組織構造を見直す」

という動きです。


では、管理職から何がなくなっていくの?

ここで、もう一歩考えてみましょう。

従来の管理職には、さまざまな仕事が集まっていました。

部下から報告を受ける。

情報をまとめる。

上司へ報告する。

承認する。

会議を設定する。

進捗を確認する。

資料をつくる。

判断する。

人を育てる。

チームの方向を決める。

トラブルを調整する。

これらは全部、同じ種類の仕事ではありません。

AIやデジタル化によって効率化しやすい仕事もあれば、人と話し、状況を見ながら判断する仕事もあります。

さらに、そもそも「上司の承認を取らなくても現場で決めてよい」と仕組みを変えれば、承認という仕事自体が減ることもあります。

😸:仕事を速くするだけじゃなくて、その仕事、本当に必要?って見るのかニャ。

🐔✨:そこじゃな。「管理業務を効率化する」と「管理業務そのものをなくす」は別の話なのじゃ。

つまり、

AIに管理職の仕事を置き換える

だけではなく、

そもそも管理職を経由しなくてもよい仕事を探す

という改革も起きているのです。


「じゃあ今から管理職になるのは貧乏くじ?」と思ったら

ここまでニュースを片耳で聞いていた人なら、少し不安になるかもしれません。

🐥💦:管理職になりたくない人が増えているって聞いたと思ったら、今度は会社が管理職を減らしてるんでしょ?

🐥:これから管理職になるのって……貧乏くじなの?

そう感じるのも無理はありません。

でも、今回見てきた事例だけから、

「管理職は将来なくなる仕事」

と考えるのは早そうです。

むしろ削られようとしているのは、管理職という肩書そのものよりも、

何段にも重なった管理階層や、そこを通すために生まれた仕事

です。

一方で、

人を育てる。

目標を共有する。

困っている人を支える。

チーム内の仕事を調整する。

判断する。

組織の方向と現場の仕事をつなぐ。

こうした役割まで不要になったわけではありません。

職場調査を行うGallupは、チームのエンゲージメントの違いの70%がマネジャーによって説明されるとの分析を長年示しています。

2026年の同社の資料でも、マネジャーには、チームを動かすこと、高い成果につながるコーチング、社員の成長を支えることなどが重要な役割として挙げられています。

つまり、

管理職の数を減らすことと、よい管理職の価値が下がることは同じではありません。


むしろ管理職の仕事は「濃くなる」?

では、管理職の仕事は楽になるのでしょうか。

ここも、まだ答えは一つではありません。

AIや業務改善によって、資料作成や情報収集、定型的な進捗確認などが減れば、人やチームに向き合う時間を増やせるかもしれません。

一方で、管理職の人数だけを減らし、仕事の仕組みが変わらなければどうでしょう。

一人の管理職が見る人数が増える。

判断する範囲が広がる。

部下と話す時間が減る。

そこへ従来のプレイヤー業務まで残れば、かえって負担が増える可能性もあります。

🐶❗:ここは企業ごとの制度設計によって違います。「管理職削減=残った管理職が楽になる」とは言えません。

🐥❓:じゃあ、管理職が減ったという数字だけ見ても分からないんだ。

😸:何人減ったかより、何を減らしたかを見るニャ。

🐥💡:あ。それだ。


管理職削減のニュースでは「何を減らしたのか」を見てみよう

これから「○○社が管理職を削減」というニュースを見かけたら、人数だけでなく、その少し先を見てみると景色が変わります。

管理階層を減らしたのか。

承認プロセスを減らしたのか。

AIやデジタル化で業務を減らしたのか。

現場へ権限を移したのか。

単純な人件費削減なのか。

そして、

残った管理職には、何を求めているのか。

ここまで見ると、「管理職20%削減」という同じような見出しでも、会社によって中身が違うことが分かります。


管理職は「情報の中継地点」から変わっていく?

以前なら、

現場から報告を集める。

それをまとめて上へ伝える。

上から来た方針を部下へ伝える。

そんな「情報の中継地点」としての役割も、管理職にはありました。

しかし、情報をリアルタイムで共有でき、AIが大量の情報を整理し、現場にも判断材料が届くようになれば、その役割の一部は小さくなるかもしれません。

だからといって、人と人との間にある仕事まで消えるとは限りません。

迷っている部下と話す。

異なる意見を持つ人たちをつなぐ。

失敗したときに責任を引き受ける。

何を優先するか決める。

次の人材を育てる。

変化の中で、チームが進む方向を示す。

そうした仕事は、むしろ組織がフラットになるほど重要になる可能性もあります。

🐥✨:管理職がなくなるというより、管理職に残る仕事が変わっていくのかもしれないんだ。

🐔☕:そう考えると、「何人いるか」だけでは管理職の未来は見えてこないの。


まとめ|管理職削減=管理職はいらない、ではない

BMWが管理職ポストを約20%減らす。

Bayerは管理職ポストを約3分の2減らした。

Amazonは一般社員に対する管理職の比率を見直した。

Metaも管理階層を減らした。

見出しだけを並べると、

「管理職は減らされる仕事になった」

ようにも見えます。

でも、その中身を少し掘ってみると、違う景色が見えてきます。

企業が見直しているのは、管理職という存在だけではありません。

何段もの階層。

長い承認経路。

会議。

情報の中継。

現場から遠い意思決定。

そうした「管理職をたくさん必要としてきた仕事の仕組み」そのものを変えようとしている企業があります。

一方で、人を育てること、チームをまとめること、判断すること、方向を示すことまでなくなったわけではありません。

だから、「管理職削減」というニュースを見たとき、

管理職は何人減るんだろう?

だけで終わらず、

その会社は、管理職の何を減らして、何を残そうとしているんだろう?

と、一つだけ問いを足してみる。

それだけで、ニュースの見え方は少し変わります。

🐥✨:ぼく、最初は「管理職がいらなくなるニュース」なのかと思ってた。

🐥:でも、本当に見たかったのは人数じゃなくて、仕事の中身だったんだね。

😸:肩書より、中に何が入ってるかニャ。

🐔:管理職という箱そのものより、その箱に何を入れるのかが変わり始めているのかもしれんの。

会社が変われば、管理職の形も変わります。

これから管理職になる人にとっても、すでに管理職として働いている人にとっても、

「管理職になるべきか」だけではなく、「どんな管理職なら、自分はやってみたいと思えるのか」

を考えてみる。

管理職削減のニュースは、そんな問いを私たちにも投げかけているのかもしれません。

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