FMの目的と目標はどう違う?やさしく学ぶFM入門|第1章⑥

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ファシリティマネジメントを進めるときは、最初に「何のために行うのか」を明らかにし、その実現に向けた具体的な目標を設定します。

でも、FMの目的と目標は、何が違うのでしょうか?

今回は、目的という大きな方向を、実際に取り組める目標へ変えていく方法を、ぴよまるたちと一緒に学びます。


まずは3択クイズ!

🐶うらのいぬさん:次のうち、FMの「目標」として、もっとも具体的なのはどれでしょう?

① 働きやすい職場をつくる
② みんなが幸せに過ごせる建物にする
③ 今年度末までに、空調に関する苦情を前年度より20%減らす

🐥ぴよまる:①も②も大切そうだけど……数字と期限が入っているから、③かな?

🐶:正解は、③です。

🐥:やった!でも、①と②は間違いなの?

🐔にわのとりさん:間違いではないぞ。①や②は、進む方向を示す「目的」に近い表現じゃ。

一方、③には、いつまでに、何を、どのくらい改善するのかが書かれておる。だから、達成できたかどうかを確かめやすいんじゃよ。


FMの目的と目標――目的は方向、目標は目印

🐥:目的と目標って、同じような言葉だと思っていたよ。

🐔:よく似ているが、役割が違うんじゃ。

目的は、何のために取り組むのかという、大きな方向を示すものじゃ。

目標は、その目的に近づくために、いつまでに何を実現するのかを具体的に示すものなんじゃよ。

🐶:山登りにたとえると、目的は「なぜ、その山に登るのか」。目標は「何時までに、どの地点まで進むか」という途中の目印です。

目的 目標
示すもの 取り組む理由や方向 達成したい具体的な状態
主な問い 何のために? いつまでに、何を、どこまで?
表現例 安全で働きやすい職場をつくる 年度末までに施設内の転倒事故をゼロにする
確認方法 方向が組織の方針に合っているか 数値や期限などで達成状況を確かめる

😸うちのねこさん:オレの場合、目的は豊かな猫生活。目標は、一日三回おやつを届けてもらうことニャ。

🐥:具体的だけど、その目標は飼い主さんの方針と合っているのかな?

🐔:そこが大切なところじゃ。具体的であっても、組織全体の目的に合っていなければ、よい目標とはいえんのじゃよ。

目的が進む方向を示し、目標がそこまでの道のりを見えるようにします。


FMの目的は組織によって変わる

🐥:FMには、みんなに共通する目的があるんじゃないの?

🐶:人、組織、社会を支えるという基本的な考え方は共通しています。ただし、何を特に重視するかは、組織や施設によって異なります。

たとえば、オフィスでは働きやすさや生産性が重視されるかもしれません。

病院では、患者や医療従事者の安全、衛生、設備の安定稼働が特に重要です。

学校では、児童や生徒が安全に学べる環境づくりが欠かせません。

工場では、生産設備を安定して動かすことや、事故を防ぐことが重要になります。

🐔:施設そのものを守ることだけが目的ではないんじゃ。

その施設を使って行われる仕事や活動を支えることが、FMの大きな役割なんじゃよ。

🐥:同じ建物の管理でも、そこで何をしているかによって大切なことが変わるんだね。

🐶:国際規格のISO 41001でも、FMは組織の目的を支え、関係者のニーズや要求に応えるためのマネジメントシステムとして整理されています。

つまり、FMの目的は、組織の経営方針や事業目的と切り離して考えるものではありません。


目的を具体的な目標に変えてみよう

🐥:大きな目的から、どうやって具体的な目標をつくるの?

🐔:一つの例として、オフィスの目的を「安全で働きやすい環境をつくる」として考えてみよう。

この目的だけでは、何から始めればよいのか、どこまで進んだのかが分かりにくい。

そこで、安全、快適さ、環境、コストなどの視点から、具体的な目標に分けていくんじゃ。

安全に関する目標の例

  • 避難経路の日常確認を毎月実施する
  • 今年度中に防災訓練の参加率を90%以上にする
  • 点検で見つかった重大な不具合は、対応期限を決めて管理する

快適さに関する目標の例

  • 年度末までに空調に関する苦情を前年度より20%減らす
  • 利用者アンケートの満足度を前年より向上させる
  • 会議室の予約の取りにくさを改善する

環境に関する目標の例

  • 年間の電力使用量を前年度より5%削減する
  • 廃棄物の分別状況を毎月確認する
  • 紙や使い捨て用品の使用量を減らす

コストや資産に関する目標の例

  • 緊急修繕の件数を減らす
  • 設備の状態を調べ、更新計画を年度内に作成する
  • 使用していない空間を把握し、活用方法を検討する

🐥:数字を入れると、何をすればよいか分かりやすくなるね。

🐶:ただし、ここに挙げた数字は説明のための例です。すべての施設が同じ数値を目標にするわけではありません。

建物の現状、利用者のニーズ、予算、法令上の条件などを確認し、それぞれの組織に合った目標を決めます。


数字だけを追いかけないことも大切

🐥:数字で確認できるなら、とにかく数値を良くすれば成功なの?

🐔:そうとは限らんぞ。

たとえば、電気使用量を減らす目標だけを重視して空調を弱めすぎれば、働く人の健康や快適さを損なうかもしれん。

修繕費を減らすために必要な修理を先送りすれば、後でもっと大きな故障につながる可能性もある。

😸:おやつ代を減らすという数字だけを追いかけると、オレの満足度が大幅に下がるニャ。

🐥:そこだけは、とても真剣だね。

🐶:FMでは、一つの数字だけで判断せず、複数の視点から結果を確認することが重要です。

  • 安全性は保たれているか
  • 利用者に負担が出ていないか
  • 必要な品質を確保できているか
  • 費用に見合う効果があるか
  • 環境への影響を抑えられているか
  • 組織の活動に役立っているか

🐔:目標を達成すること自体が目的になってはいかんのじゃ。

数字は、目的に近づいているかを確かめるための道具じゃよ。


目標は立てたあとが大切

🐥:目標を決めたら、あとは頑張ればいいんだね!

🐶:頑張るだけでなく、定期的に結果を確認する必要があります。

前回学んだFMの業務の流れに当てはめると、次のようになります。

  1. 組織の方針をもとに、FMの目的を確認する
  2. 現状を調べ、課題を見つける
  3. 期限や評価方法を含む目標を設定する
  4. 目標を達成するための計画を実行する
  5. 結果を測定し、目標との差を確認する
  6. 必要に応じて対策や目標を見直す

🐔:施設の使い方や働き方、経営環境が変われば、必要な目標も変わる。

一度決めた目標を守り続けるだけではなく、今の状況に合っているかを確認することが大切なんじゃよ。

🐥:目的という大きな方向を見ながら、目標という目印を置き直していくんだね。


今日のまとめ

🐶:今回のポイントを整理しましょう。

  • FMの目的は、何のために取り組むのかという方向を示す
  • FMの目標は、目的に近づくための具体的な到達点を示す
  • FMの目的や目標は、組織の事業や施設の役割によって異なる
  • 目標には、期限や評価方法を設定すると進み具合を確認しやすい
  • 数字だけを追わず、安全・快適さ・コスト・環境などを総合的に考える
  • 結果を評価し、必要に応じて目標や取り組みを見直す

🐥:目的は進む方向、目標は途中の目印。これなら、ぼくにも違いが分かったよ!

😸:オレの目的と目標も、きれいに整理されたニャ。

🐔:目標の内容については、まだ話し合いが必要そうじゃな。

目的という遠くの灯りと、そこへ向かうための小さな目印。その両方があってこそ、FMは組織の未来へ進んでいけるんじゃよ。


次回予告:FMは世界でどう広がった?

ファシリティマネジメントには、国や地域を越えて共有される考え方や国際規格があります。

次回は、FMの国際的な広がりと、ISOによる標準化について見ていきます。


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参考資料

※本記事に掲載した数値目標は、目的と目標の違いを説明するための例です。実際の目標は、組織の方針、施設の状況、利用者のニーズ、法令や予算などに応じて設定してください。

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