副首都とは? 東京が止まったとき、国の重要な機能はどう続けるの?

副首都とは? 暮らしと社会

「副首都」という言葉を聞いて、どんな街を思い浮かべるでしょう。

東京によく似た大都市でしょうか。

国会議事堂や官庁が並ぶ「第二の東京」でしょうか。

それとも、東京に何かあったときだけ登場する、予備の首都?

2026年、そんな「副首都」をめぐる制度が動き始めています。

でも、制度を見ていくと、どうやら単純に「東京の代わりになる街を一つ決めましょう」という話ではなさそうです。

この記事では、

副首都とは何なのか。
東京が止まったとき、国の重要な機能をどう続けるための仕組みなのか。

ぴよまるたちと一緒に、地図を広げてみましょう。

※この記事は2026年10月6日時点で確認できる情報をもとにしています。副首都などの要件を定める政府令案について、10月3日から16日までパブリックコメント(意見募集)が行われています。

そもそも「副首都」って、何をするところ?

🐥ぴよまる:ぼく、「副」っていうくらいだから、東京の次に偉い街を決めるんだと思ってた。

🐔にわのとりさん:「第二の都市を決める」と考えると、少し違うんじゃ。

副首都を考えるとき、まず知っておきたいのが「首都中枢機能」という言葉です。

法律では、政治、行政、司法、経済など、国家や社会の重要な機能を「国家社会機能」とし、そのうち東京圏にある中枢的なものを「首都中枢機能」としています。

少し難しい言葉なので、ぴよまるたちの会話では、分かりやすく「国の重要な機能」と呼ぶことにします。

なお、この記事では読みやすさを優先して「東京が止まったとき」と表現することがありますが、法律が対象としているのは東京都だけではありません。周辺地域を含む「東京圏」に所在する首都中枢機能です。

では、副首都とは何でしょう。

法律では、大規模災害が発生し、東京圏で首都中枢機能を維持することが難しくなった場合に、必要に応じて、一定期間、首都中枢機能の全部または大部分を代替する機能を担う道府県として、副首都を位置づけています。

🐥💦:「全部または大部分」って……。国会も役所も何もかも、みんな副首都へ引っ越すってこと?

🐶うらのいぬさん:そこは少し注意が必要です。大規模災害などのときに、国の重要な機能を一定期間、代わりに担えるよう備えるということです。平時から政府機能を丸ごと副首都へ移転する、という意味ではありません。

🐥💡:あ。「移す」んじゃなくて、いざというときに「代わりをできるよう備える」んだ。

まずは、このイメージを持っておきましょう。

🐥「ところで、副首都って何個つくるの?」

🐥❓:あれ?

🐔:どうしたんじゃ?

🐥❓:副首都っていうくらいだから、ひとつだと思ってたけど……。何個つくるの?

実は、これは国会でも質問されています。

結論からいうと、副首都は一か所に限定されていません。

法律で定められた要件を満たした道府県から申出があり、内閣総理大臣が指定する仕組みです。

国会審議でも、複数の副首都が指定される場合を想定した議論が行われています。

ただし、

「全国に○か所つくる」

と数が決まっているわけではありません。

🐥💡:京と副首都が、一対一になるとは限らないんだ!

🐶:そうですね。ただし、「副首都を必ず複数つくる」と決まったわけでもありません。

🐥❓:じゃあ、東京と同じ機能を持つ場所を何個もつくるの?

複数あっても、全部が同じ役割とは限らない

ここも気になるところです。

国会審議では、複数の副首都が指定された場合、災害が発生した場所や被害の程度によって、副首都ごとに代替する機能や場面が異なることも考えられると説明されています。

つまり、複数指定されたとしても、すべてがまったく同じ役割を担うとは限りません。

では、それぞれが何を担うのでしょう。

そこは、まだこれからです。

災害時にどのようなバックアップ体制をとるのが効果的なのかは、今後、政府の基本方針で示されることが想定されています。

🐥💦:ぼく、「東京がダメになったら、みんな副首都へ移動!」みたいな感じを想像してた。

🐔:災害は、いつも同じ場所で、同じ規模で起きるわけではないからの。

🐶:今の段階では、「複数指定される場合もある」ことと、「それぞれの役割まで決まっている」ことは別と考えておきましょう。

🐥💡:まだ描かれていないところもある地図なんだね。

実は「首都中枢機能代替地域」という仕組みもある

ここで、もう一つだけ新しい言葉が出てきます。

「首都中枢機能代替地域」です。

長い名前ですが、違いはシンプルです。

副首都は、大規模災害のときに首都中枢機能の全部または大部分を一定期間代替する地域。

一方、首都中枢機能代替地域は、その一部を一定期間代替する地域です。

😸うちのねこさん:待つニャ。国の重要な機能の全部や大部分を代わりにできるよう備える「副首都」と、一部を引き受ける場所もあるのかニャ?

🐥💦:ぼく、東京と副首都の二人三脚だと思ってた……。

🐔:東京の予備を一つ用意して終わり、というより、首都中枢機能を止めないための備えを重ねていく、と見ると分かりやすそうじゃな。

🐥💡:最初より、地図が広がってきた。

副首都には、もう一つの顔もある

ここまで災害時の話を中心に見てきましたが、実は副首都にはもう一つ役割があります。

法律では、副首都を、首都中枢機能を代替するだけでなく、「多極分散型経済圏の形成の中核」となる地域とも位置づけています。

少し難しい言葉ですが、東京圏に人口や経済機能が集中しすぎるのではなく、複数の地域に経済の拠点をつくっていこう、という考え方です。

🐥❓:じゃあ、副首都って災害が起きたときだけの場所じゃないの?

🐶:そうです。災害への備えだけでなく、平時の経済や都市のあり方にも関係する制度なんです。

この記事では「東京が止まったとき、どうする?」を中心に見ていますが、副首都には防災だけではない役割もあることは、地図の端に書き込んでおきましょう。

じゃあ、どんな場所なら副首都になれるの?

2026年10月3日、内閣官房は、副首都と首都中枢機能代替地域の要件を定める政府令案について、パブリックコメントを始めました。

つまり現在は、

「どんな地域なら、副首都として指定されるための要件を満たすのか」

という具体的な物差しが見えてきた段階です。

副首都については、国の行政機構の立地状況、人口、経済の集積状況、地方行政の体制などが指定要件に関係します。

ただし、ここで大切なのは、

「副首都になる場所が決まった」わけではない

ということです。

現在示されているのは政府令の案で、10月16日まで意見募集が行われています。

🐶❗:「指定のための条件が具体化してきた」ことと、「副首都が決まった」ことは分けて考えましょう。

🐥:ニュースを見るときも、「決まったの? まだ案なの?」って確認すればいいんだね。

建物を用意すれば、首都中枢機能は続けられる?

ここで、もう一歩だけ考えてみましょう。

副首都となる地域に、首都中枢機能を代替するための拠点を用意したとします。

建物があります。

机があります。

会議室があります。

では、それだけで首都中枢機能を代替できるのでしょうか。

😸:建物が無事でも、そこで国の重要な機能を動かせなかったら困るニャ。

たしかにそうです。

首都中枢機能を継続するには、建物だけでなく、必要な人や情報、通信、交通なども関係してきます。

法律でも、大規模災害が発生した場合に政治、行政、司法、経済などの活動を持続できるよう、多重性や代替性を確保した交通・通信体系の整備を基本理念の一つに掲げています。

イメージとしては、会社のBCP(事業継続計画)にも少し似ています。

本社が使えなくなったとき、別のオフィスさえあれば仕事が続く――とは限りません。

人や情報がなければ動けない。

連絡手段が途絶えても困る。

誰が判断するのかも決めておく必要があります。

副首都も、

「どこに置くか」だけではなく、「どうすれば首都中枢機能を続けられるのか」

という視点で見ると、その意味がさらに見えやすくなります。

「副首都とは?」――ここまでの小さな地図

🐥✨:ぼく、最初は副首都って「東京の代わりになる街をひとつ決める話」だと思ってた。でも、違った。大きな災害で東京圏の首都中枢機能を続けるのが難しくなったときに、国の重要な機能を一定期間、代わりに担えるよう備えておく話なんだね。

🐔☕:そうじゃな。しかも、一か所だけとは限らない。

🐶:そして、複数指定された場合にどのような役割を担うのかなど、これから基本方針で具体化される部分もあります。

😸:つまり、「どこが副首都になるニャ?」だけ見ていても、全体は見えないってことかニャ。

副首都について、細かな制度をすべて覚える必要はありません。

まず持って帰りたいのは、このイメージです。

副首都は、東京から政府機能を丸ごと移すための仕組みではありません。

大規模災害などで東京圏の首都中枢機能を維持することが難しくなったとき、その全部または大部分を一定期間代替できるよう、別の地域に受け皿を備えておく仕組みです。

移すのではなく、備える。

🐥✨:ニュースで「首都中枢機能」って言葉が出てきても、もう大丈夫。
国を動かすための大事な機能のことだね。

これから「副首都」というニュースを見たとき、

「候補はどこ?」

だけではなく、

「そこで、どんな首都中枢機能を代替できるようにするんだろう?」

と眺めてみる。

今はまだ白い部分のある地図ですが、基本方針や指定をめぐる動きが進めば、その中身も少しずつ見えてきそうです。

🐥おりたたみ劇場 雲の上の首都?

🐥:……ねえねえ。最近「クラウド」ってよく聞くでしょ?

🐔:聞くのう。

🐥✨:だったらさ。クラウドがあれば、副首都みたいなものはいらないんじゃない? データをクラウドに置いて、どこからでも仕事ができるようにするの!

🐥💕:の上の首都! なんか未来って感じ!

🐶:ずいぶん高いところまで行きましたね。

😸:……ぴよまる。

🐥:なに?

😸:その「雲」、地上のどこかにあるニャ。

🐥💦:…………え?

🐔:クラウドの向こう側にも、実際にデータを保存したり処理したりするサーバーがあるんじゃよ。

🐥:雲の上じゃなかった……。

🐶:それに、クラウドで情報を分散することと、国の重要な機能を代替できる地域を備えることは、同じ話ではありません。

🐥💡:そっか。データが無事なら、それだけで国の重要な機能が動くわけじゃないんだ。

😸:でも、「情報まで全部東京に置いておく必要はあるのか?」ってところは、ちょっと気になるニャ。

🐥✨:おっ?

この話は、副首都から少し離れてしまうので、今日はここまで。

でも実は、クラウドを支えているデータセンターをどこに置くのかという話も、災害や電力、地域分散と関係しています。

それはまた、別の記事で。

🐥✨:よーし。次は雲の正体を見に行こう!

😸:地上から行くニャ。

参考にした一次資料

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