楽しみにしていた花火大会が、中止になりました。
残念だなあ。
そう思いながら中止のお知らせを眺めていて、ふと気になったことがあります。
ところで、今日打ち上げるはずだった花火はどうなるんだろう?
何千発、何万発という花火です。
捨てるの?
来年まで取っておくの?
それとも、別の花火大会で使うの?
そして、もう一つ。
あれって火薬ですよね。どうやって持って帰るの?
気になり始めたら、夜空とはまったく違う方向へ花火を追いかけることになりました。
🐥:中止になった花火、捨てちゃうの?
🐥ぴよまる:せっかく作ったのに、全部捨てちゃうの?
🐔にわのとりさん:いやいや。中止になったからといって、全部がすぐ廃棄されるわけではないぞ。
実際の例があります。
2024年7月、東京の「足立の花火」は雷の影響で打ち上げ直前に中止となりました。
残された花火は、その日のうちに花火事業者が回収。
そして一つひとつ、濡れていないか、再び安全に使える状態なのかが確認されました。
安全が確認された花火の中には、別の花火大会で使われたものもあります。
🐥:じゃあ、すぐに別の大会がなかったら?
🐔:点検して異常がなく、適切に火薬庫などで保管できれば、また出番が来るまで待つ花火もあるんじゃよ。
🐥:来年まで待つこともあるの?
🐔:そういう花火もあるということじゃな。
つまり、
中止=花火が全部ゴミになる
ではないのです。
ただし「乾かせばいいじゃん」とはいかない
🐥:ちょっと濡れたくらいなら、乾かせばいいんじゃない?
🐔:それが、そう簡単ではないんじゃ。
花火は火薬類です。だから使用前には、湿気や導火線の状態などを必ず点検しなければなりません。
実際に、火薬類取締法施行規則でも、煙火は使用前に「吸湿」「導火線の損傷」などの異常がないか検査し、異常があれば使用しないことが定められています。
さらに、使用に適さないと判断された煙火は、その旨を明記したうえで煙火置場などへ返すことも定められています。
足立の花火を担当した事業者も、花火玉そのものだけではなく、打ち上げ筒の内側が湿っていた場合などにも、再利用しない判断をしたといいます。
きれいに開くかどうかだけの問題ではありません。
予定外のタイミングで火がつく。不発になる。
そんなことが起きれば、人の命にかかわります。
だから「もったいない」より先に、「安全」が来ます。
🐥:じゃあ、使える花火は持って帰るの?
ここで、次の疑問が出てきました。
🐥:持って帰るって……。
🐔:うむ。
🐥:車で?
🐔:そうじゃ。
🐥:…………火薬を?
そうです。
花火は、道路を車で運ばれます。
ただし、宅配便の荷物と同じようにトラックへポンと積んで走っているわけではありません。
花火は火薬類です。当然、運ぶときにも安全のためのルールがあります。
火薬類取締法では、一定量を超える火薬類を運搬する場合、出発地を管轄する都道府県公安委員会へ届け出て、運搬証明書の交付を受けることになっています。
必要があれば公安委員会は、運搬する日時や経路、方法、積載方法について指示することもできます。
そして会場の中で花火を移動するときにも、衝撃などに対する安全措置が必要です。
私たちが道路ですれ違っているトラックの中に、これから夜空へ向かう花火が乗っていることもあるのかもしれません。
花火大会の裏側には、もう一つの景色がある
花火大会というと、私たちが見るのは夜空です。
ドーンと、体で受け止める音。
夜空で舞う光。
そして、歓声。
先日、大曲の花火を映像で見る機会がありました。
夜空いっぱいに広がる花火を眺めているうちに、きれいだな、すばらしいな、という気持ちと一緒に、「これは職人さんたちの仕事なんだな」と思いました。
あの一発が空へ上がるまでには、
花火を作る人がいて、
安全を確認する人がいて、
運ぶ人がいて、
会場で管理する人がいて、
打ち上げる人がいます。
そして大会が中止になれば、今度は安全に回収する仕事が始まります。
東京都の「火薬類(煙火)消費許可申請の手引」では、大会を中止した場合、未使用の花火と資材を回収し、花火業者が火薬庫などへ持ち帰ることまで定められています。
華やかな一瞬の裏側にあるのは、ずっと積み重ねられてきた準備と、安全を守るための仕事でした。
花火大会は、当日集まって花火を打ち上げているわけではないんですね。
ずっと前から準備された、大きなプロジェクトです。
🐥:じゃあ、花火大会っていつから準備してるの?
🐥:会場も取るんでしょ?
🐥:花火師さんも予約するんでしょ?
🐥:警備の人は?
🐥:中止になったら、お金はどうなるの?
🐔:…………。
🐥:ねぇねぇ。
🐔:今日は花火玉を追いかける話じゃったはずなんじゃがのう。
そうでした。
調べていたら、また別の疑問が生まれてしまいました。
花火大会には、私たちが夜空を見上げているだけでは見えない、たくさんの仕事があります。
その話は、またいつか。
次に花火大会へ行ったら、打ち上がる前に少しだけ想像してみようと思います。
この花火玉は、どんな道を通って、ここまで来たんだろう。
そして無事に夜空へ送り出された一発一発には、
それまで花火を守ってきた人たちの仕事や想いも、一緒に詰まっているのかもしれません。
今夜もどこかで、
大切に運ばれてきた花火が、夜空に大きな花を咲かせます。
参考にしたサイト
🔗e-Gov法令検索「火薬類取締法」「火薬類取締法施行規則」
花火の運搬、使用前の点検や異常がある場合の取り扱いなどを確認しました。
🔗東京都環境局「煙火消費許可申請について」
花火大会の安全基準や、中止・中断時の取り扱いなどを確認しました。
🔗東京都環境局「火薬類(煙火)消費許可申請の手引」
大会中止時の未使用花火の回収や、火薬庫等への持ち帰りについて確認しました。
🔗TBS NEWS DIG「“急きょ”中止になってしまった花火大会の花火はどこへ・・・?」
2024年の「足立の花火」で、打ち上げられなかった花火が実際にどう扱われたのかを参考にしました。
